wakisaka lab@Shizuoka Institute of Science and Technology

静岡理工科大学 建築学科 脇坂圭一研究室

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台湾渡航(2日目)

你好!

こんにちは、脇坂研究室4年伊藤勢来です!

 

今日の天気は晴れていて26℃越え。日本ではまだ考えられない暑さの中、調査・実測1日目が始まりました。午前中は梅田君と2人で調査範囲となっている迪化街に到着後散策。東西100m、南北に947mと細長い形をしていていずれも亭仔脚を持っています。亭仔脚というのは台湾で商店街アーケードと同じ意味です。

お昼に脇坂先生と合流し、順天外科医院でご飯をたべました。お米と青梗菜にスープ、豚の角煮の定食をいただきました。このお店のお米は日本米と良く似ていて、味もとても美味しかったです。

ここは研究対象の容積移転制度(TDR: Transfer of Development Rights)の対象地ということで昼食後に計測開始。iPadで写真に寸法を書き込んだり、用意していた図面に書き込む作業をしていきました。厨房の方は、お店の人に伺うと快く見せてくれました。ここは1921年飲食店、雑貨店を経て1階は外科医院2.3階は住居として使われていました。その後、2009年に歴史建築として登録、2013年に新しくカフェとして使われました。

建物中央部に吹き抜けを設けたり、木造レンガ造の耐震補強として黒い鉄骨を見せていたりと新しいデザインを取り入れているところは日本の歴史を残す文化とは異なっています。

隣接していた建物は撤去されて柵がしてありましたが、この建物の側面を見てみると、共有壁のようなものが残されたままで階段や構造体の跡がくっきりとあり、印象的でした。

午後は都市再生前進基地(URS:Urban Regeneration Station)の対象地であるURS44 の大稲 故事工坊の計測をしました。地上3階の建物で、歴史や文化を発信する中心地として活用されています。

計測後気づくと日が落ち暗くなってきました。

正面には、縁結びの神で有名な台北霞海城隍廟で参拝。無料で3本の長い線香をもらい火をつけ、順番に神様に生年月日、住所、名前、そして縁結びということで好きな人やタイプなどを神様にお願いするお寺ということで3人で一緒に参拝をしました。

夜は寧夏夜市でご飯を。日本の夏祭りのような賑わいが年中見られると言われる夜市。実際に行くと人の多さが圧巻でした。今日は台湾料理で有名な魯肉飯と、チキンライス、サメの刺身、白身魚のスープをみんなで分け合いました。夜市はリーズナルブルな価格で美味しく食べることができ、台湾の人にとっては重要なものだと感じました。



ホテルに戻り、外観パースを書き今日の作業は無事終えることができました。

明日も調査、実測頑張ります。

台湾渡航(1日目)

 

你好!

こんにちは、脇坂研究室4年伊藤勢来です!

 

3月21日(木)から台北市のURS(Urban Regeneration Station)やTDR(Transfer of Development Rights)という独自の制度について研究・調査をするため中部国際空港から台湾・桃園国際空港へ出発しました。

1895年から1945年の日本統治期に、日本の技術者が日本に先駆けて試みた都市計画のなかで誕生した亭仔脚。その歴史遺産としての保存活用法として、市民ニーズに対応した改修や建物に価値を見出す使用者・運営者の募集によって活用をはかる法的整備の実態や運用の体制について調査するとともに、建物の実測を行うことが目的です。

 

メンバー:脇坂先生、伊藤(4年)、梅田(4年)

 

僕たちは夜中の1時頃に台湾桃園国際空港に到着しました。この空港は、團紀彦さんが国際コンペで設計を獲得し、改修設計をした建築です。大屋根の懸垂曲線が印象的でルーバーの隙間から漏れた光が大空間に広がる建築でした。

 

空港で日本円をニュー台湾ドル(現地では元と言われているようです)に両替をし、いざ台北駅出発。ちなみにレートは1元が4.7円でした。まずは駅で悠遊カードという台湾のICカード台北駅までの券がセットになっているものを445元で購入。切符が紙ではなく小さなコインで駅の改札入れるのかと思ったら、かざすだけで入場できることに驚きました。

数十分で台北駅に到着。初めての国外ということで驚きの連続。台北駅は巨大な建築でとても存在感がありました。コンコースは6階相当の吹抜けでトップライトから自然光が差し込むようになっており、とても明るい大空間でした。

ちなみにこの台北駅の桃園国際線駅は槇文彦さんがマスターアーキテクト、池田靖史氏がデザインアーキテクト、加えてローカルアーキテクトとの共同設計です。日本人観光客の皆さんは、実は日本人の建築家たちが設計を手がけているということをどのくらい認識しているでしょうか?

 

 

脇坂先生が台湾に到着するまで時間があったため、OMA設計の台北パフォーミングアーツセンターに向かいました。台湾の地下鉄である台北MRT劍潭駅を降りると市街地の中から突如現れる大きな球体。劇場や芸術という文化がとても身近に感じる施設でした。

無料の見学ツアーに参加し、劇場内の裏側に。公演チケットの有無にかかわらず、劇場のインフラや通常隠されたスペースを通ることができるパブリックルームが用意されていて、劇場以外の使い方も考えられていました。球状の800席ある「グローブ・プレイハウス」、1500席の幅広い舞台「グランドシアター」、800席の実験的なプログラムを行う多面体劇場「ブルーボックス」。そして、2つの劇場の二重防音壁を取り払うと巨大な「スーパー・シアター」が姿を現し、統合することで常に新しいパフォーマンスを生み出すという考えが施されていました。

その後、台北駅で脇坂先生と合流。吹抜け空間では多くの人が場所関係なく地面に座り、午前中は見られなかった光景を目の当たりにしました。

台北市内の出店に立ち寄り台湾ビールで乾杯。

明日から調査、実測が始まるので頑張りたいと思います。

 

2024.1.24 株式会社ホクレア・システムズ ヒアリング

こんにちは。

脇坂研4年の戸塚です。

 

1/24(水)に4年の戸塚の卒論調査で、富士市にある株式会社ホクレア・システムズさんの工場にて、代表の鈴木様にヒアリングをさせて頂きました。

 

ホクレア・システムズは、住宅用の空調システムや太陽熱利用システム、バイオマスボイラーシステム、エネルギー遠隔管理システムなどの企画、設計を行う会社です。

 

ヒアリングでは、内保製材のオフグリッドモデルハウスに関わった経緯をはじめ、各設備の仕様や容量に対する意図、オフグリッドに対する考え方などを聞くことが出来ました。特にオフグリッドに対する考え方の部分では、無理やりオフグリッドにする必要はなく、いざという時に安心して暮らせるように外部との接続はしておく必要があるとのことでした。例えば、浜松でオフグリッドを行う場合、PVパネルと太陽熱温水器をベースとして、自家消費して暮らせる必要最低限の容量で設定するのがよいということで、そこは新たな知見で非常に勉強になりました。

 

ヒアリングの途中では、実際にエネルギー遠隔管理システムを画面上で見させて頂き、内保製材のオフグリッドモデルハウスの電力消費状況やバイオマスボイラの稼働状況などを日時ごとに見ることが出来ました。

 

工場では、ホクレアさんが開発している住宅用全館空調について実物を見ながらご説明頂き、6畳用エアコン1台で各室を空調する仕組みがよく分かりました。

 

今回は設備の企画、設計者という立場から、オフグリッドに対する考え方を聞くことが出来ました。この結果を自分の卒論に組み込み、より精度を上げていきたいと思います。



 

2024.1.14 株式会社バレッグス オフグリッド住宅見学・ヒアリング

こんにちは。

脇坂研4年の戸塚です。

 

1月14日に戸塚の卒論調査で、会社バレッグスのオフグリッドハウス(社長さんのセカンドハウス)の見学・ヒアリングに行ってきました。

 

株式会社バレッグスは、不動産、建築(注文住宅、リノベーション)、新規事業(オフグリッド他)などを手掛けている会社です。

今回伺った、神奈川県三浦市にあるオフグリッド住宅は、2014年に新規事業の一環として建設された、太陽エネルギーのみでオフグリッドが可能かを実験する住宅になります。

北垂れの斜面地に位置しており、屋根は南に片流れの勾配屋根を設けています。建物南側は日照が得づらい敷地ですが、北側には大開口を設け、目の前の海を見渡すことが出来ます。

 

電気系統は、屋根にPVパネル17kWが載っており、リチウムイオン蓄電池72kWに蓄えられ使用されています。熱系統はプロパンガスによるガス給湯で、給湯、風呂などに使用しています。建物の外にはプールがあり、水を循環ろ過するシステムがあることで半永久的に水質が保持できます。浄化機も設置されているため、災害の際は飲み水として利用することもできます。

 

内部には電気の発電状況や使用状況が確認できる、ユーザーインターフェースがあり、オフグリッド居住者にとって大切である、電気の状況を視覚的に理解できる仕組みが搭載されていました。

 

ヒアリングでは、意匠面、設備面について仕様と選定意図を聞くことが出来ました。特にオフグリッドの導入経緯やマニフェストの部分では、実感のこもった建設当時の話をして頂き、10年前の先鋭的な取り組みの中での出来事を知ることが出来ました。

思想の部分では、オフグリッド達成のために、住まい手に節約的な生活を求めるのではなく、快適に暮らすことができる中でオフグリッドを実現しており、一般普及という面で快適さを犠牲にしない在り方は、今後も求められていくと感じました。

 

今回は、実際に空間体験とヒアリングをさせて頂き、とても貴重な体験をさせて頂きました。この実験住宅は約10年前に建設されたものですが、自分の研究を通して、今オフグリッド住宅を建設するならどのような仕様・性能、空間がいいのか、研究結果として示すことが出来ればと思っています。

 

静岡建築茶会第四煎 Carl Hansen & Søn Japan

こんにちは

脇坂研究室3年の伊藤勢来です。

 

静岡建築茶会第一煎の菊池さん、第二煎の三文字さん、第三煎の紺野さんに続いて、第四煎としてCarl Hansen & Søn Japanの郡司圭さんにレクチャーをいただきました。

デンマークのCarl Hansen & Sønは、創業者のカール・ハンセンから始まり、子孫、孫と、3世代にわたり今年で116年目を迎える家具メーカーです。創業当時は一般的だったら手仕事からいち早く加工機械を導入したり、現在ではアプレンティス制度を開始したりするなど、デンマークデザインの発展から継承まで、一貫して取り組んでいます。

今回は「デンマーク家具デザインの誕生とYチェアの秘密」として、デンマークで持続するクリエイティブの背景にある風土や歴史とともに、デンマークモダン家具デザインの父といわれるコーア・クリントの唱えた「リ・デザイン」の考え方が現代にまで与える強い影響について郡司さんからお話をいただきました。

 

 

コロナ禍を経て、これから重要になっていくデンマーク独自の言葉「ヒュッゲ」。

 

 

 

暖かな雰囲気や心落ち着く平和な雰囲気、物質的な豊かさではなく、精神的な豊かさの意味を持つ言葉がデンマークの暮らしを支える家具やデザインに大きく影響を与えてきました。

Yチェア発表当時は、既に「The Chair」や「China Chair」が発表されていましたが、手作業の工程が多く、量産することができず高額であるため、機械加工を上手に取り入れることで、クラフト味を残しつつコストダウンするといった、「リ・デザイン」の考え方で生まれ変わった背景を学びました。

また、講演ではYチェアの部品を用いて説明をしていただき、ウェグナーの強いこだわりや家具職人の高い技術と知識の表れを感じました。シンプルな中にある美しさ、耐久性、そして使い易さが見事に融合し色あせていないことが、現在でも世界中の人々に愛され続けている理由なのだと思いました。

貴重なご講演をしていただきました郡司圭さん、ありがとうございました。