こんにちは!
ブログ上での時系列は少しずれていますが、10月19日に環境ゼミを行いました。
今回の題材も、「2018 静岡建築茶会」です。
※ 静岡建築茶会について
静岡建築茶会は2016年から3年にわたって静岡を舞台に
開催されています。
各回3名の専門家の方々にお越しいただき、
お茶を飲みながら建築を議論していく会になります。
各担当者が発表し、議論し、小見出しを再定義していきます。
以下は今回の議事録になります。
第二煎
○lecture C 重村 珠穂「コンピュテーション技術を利用した環境設計」 (結梨)
第三煎
○lecture A 秋元 孝之「ZEB/ZEH SHIFTと環境デザイン」 (葉大)
1、~環境デザインの重要性~、~環境デザインの役割~
政府の目標→2030年までに5030万KLの省エネルギーを実現
日本から家をなくすぐらいン大きな数字
2、制度的な後押し~ZEH→ZEH⁺~
ZEH⁺→ZEHの条件に加えて省エネを+5%、再エネを種類以上
<考察>使う量を減らし、エネルギー生産を分散化し(天候などに左右されず
にエネルギーを作り続けられる)エネルギーの
自家生産のみで賄う。
自然災害時などでエネルギーのコアとなる
HEMS→高度のエネルギーマネージメント
3、デザインと環境技術が一致した時代~使用における実測を通して~
1、国立代々木競技場→吊り天井に空調ダクトの這わせ方
2、名護市市庁舎→エアコンなしでかぜを取り入れて快適に過ごす
3、パレスサイドビル→雨樋と屁を一体化させたファーサードデザイン
<考察>通風に関して環境デザインマップでは多く取り入れられていた。
設備×通風やパッシブ×通風など多くの方法が見受けられた。
また、日射遮蔽も工夫が多く乗っていた。
4、新たな技術を求めて~環境配慮+健康~
コベネフィット→断熱性能を高めると、省エネだけでなく快適性や健康の
面で便益がある。ということ
LEED(Leadership Energy and Environment)
人を中心とした評価システムの検討「空気・水・栄養・光・フィットネス
・快適性・心」
人の「ウェルネス」にまで踏み込むことが求められている
5、P57 2行目~エコマネハウスでの実験~
高性能の外皮と先進の技術デザインを導入する。さらに、再生可能エネル
ギーを導入
第1回→CLTを大胆に使う。片流れ屋根にし太陽光パネルを大きく使った。
第2回→集合住宅を切り取ったものを提案した。最優秀賞を受賞
6、目標達成へ、幅広い手段~設備、計画、Iot すべての技術を乗せて~
第3回→①空き家などの社会問題と環境問題の同時解決を行ったデザイン。
既存の断熱性能の高くないところを残しながら新たに高断熱で
囲む。既存スペースをバッファー空間とした。人が開け閉めす
ることで快適性を維持。
②設備コアの追加
床下に特許のある潜熱・蓄熱材を仕込んだ。
屋根裏の通気窓を使って暖房空間とバッファー空間の2重の空
間を形成。
③ソフト面での対策
Iotの活用し、時間帯と場所を規定した
DIVAで昼光、日射量をシミュレーション
結果 一次エネルギー消費量が予測だと省エネ基準と比較して7
割達成した。
夏季、中間期、冬季のエネルギー自給率が100%
7、シミュレーションと実験と~局所不快とシミュレーション~
コアンダ効果を利用したダクトレス空調
→1か所から天井平滑面に空気を吹き出して遠くへ送る空調方式
効果 ①ダクトレス空調のため従来に比べ階高を抑えながら天井高を確保
できる。
②従来よる65%もエネルギー消費量を抑えられる
③上下の温度差のムラが少なくてすむ→局所不快を避けられる
8、P59真ん中下から1行目~環境デザインの実現に向けたとコストダウン~
1、パッシブ構法の評価方法
Ⅰ.エネルギー的にはどれだけ効果があるのか?また、設備機器のメ
ンテナンスなどに使用されるはずだったエネルギーの評価方式
Ⅱ.健康などの「ウェルネス」に対する評価方法
低コストで省エネをどう実現するZEH⁺などを実現するためにお金
をかけずンどう現実的に省エネ技術を活用するかが重要 また、エ
ネルギーだけでなくて快適性・健康性・知的生産性の向上・安心
安全・レジリエンスも重要である。
<考察>
エコマネハウスなど、秋元教授の担当範囲は非常に幅広いということが分かっ
た。設備的な工夫からコアンダ効果を用いた空調設備、空き家問題などの解決
と環境配慮を同時に行ったパッシブ工法、HEMSやIotなどのソフト的な省エネ
化、シミュレーションなどのディテールの調整。非常に幅広い分野を担当する
ことによる新たな問題解決がこのレクチャーを通して学べた。
○lecture B 川島 範之「環境シミュレーションを利用して「自然と繋がる
Delightfulな建築」をデザインする」 (廣岡)
・建築家として建築設計を主な専門として、環境系のバックグラウンドを持ってい
るが 特徴です。デザインとエンジニアリングを統合しようとするスタンスを学生
時代から継 続している。大学時代、伊東豊雄さんの「せんだいメディアテーク」
や『SD2004』内に 特集されている「サステイナブル住宅はデザイン可能か」な
どから、環境を考えること が建築デザインを変えそうだと感じ環境系へと進ん
だ。日建設計に入社後、「ソニーシテ ィ大崎」の設計に携わり、そこで「バイオ
スキン」というシステムを開発、デザインす る際に、環境シミュレーションが役
に立った。その後海外へ行きサステイナブル・デザ インを学ぶことで現在の川島
さんの環境デザイン手法のベースになった。
【人新世における建築とは?】~人新世と自然とのエコロジカルな関係性~
・これまでのコミッショニングの目的は「省エネルギー」だったが、「自然
とのエコロジカルな関係性」をデザインすることにも活用できる。しかし、
20世紀後半の人間活動は地球環境に甚大な影響を与え、地質に刻まれてい
て、この新しい地質年代を「人新世」と呼んで警告している。このような
環境問題の背景には、身の回りのスケールギャップがある。だからこそ、
地球との繋がりを実感できるような建築が求められている。
【環境をシェアして自然と繋がる住宅】~Diagonal Boxes 環境と自然~
<Diagonal Boxes>
・一階は敷地境界線に沿って配置し、二階は45度回転させて箱を重ねる形
状や配置にり、街路への圧迫感を抑えて住宅自体も太陽と風を受ける
ことができるような自然との繋がりを日々感じる光溢れる室内空間を
作り出した。
1、空気線図に温湿度データをプロットしたり太陽軌道を三次元的に見た
りすることで、ダイレクトゲイン(=窓から射す太陽熱を直接建物に
蓄えさせて日没後の暖房に役立たせる)と自然通風ができるような建
ち方を検討していく。環境シミュレーションを使うことで、エビデン
ス・ベースド(=統計データなどの科学的根拠に基づいて政策判断な
どを行うこと)しながら設計を進めることができる。
2、リビングに隣接する玄関や廊下に明るさを届くように、半透明建具の
効果を考えながら設計を進めた。
3、卓越風時のボリュームの各面の風圧分布を出し、開口計画を考える。
4、室内の空気を把握して、開口を調整した。
→①から④までの検討を経て、十分な建物形状、配置、開口計画に至った。
【外皮・設備デザイン】~デライトフルな建築の実現~
・日本の省エネ基準の外皮性能は決して高いものではないので、これに則っ
ているからと言って十分ではない。そこで、温熱シミュレーションを行い Thermal Autonomyという指標で評価をすることで、設計の工夫や設備機器
の効果を把握しながら仕様を決定していく。加えて、エネルギーのシミュ
レーションも行うことでポジティブ・エネルギー住宅を実現させた。
・以上のような環境シミュレーションを使ったコミッショニングによって、
室内環境品質やエネルギー性能を犠牲とすることなく、自然との繋がりを
感じられるようなデライトフル(=形容詞 うれしい、魅力的な)な建築を
実現することができる。
【伝統的集落・慣習的建築形式の知恵を学ぶ】
・伝統的集落や慣習的建築形式は「気候風土に対する知性」として現代的に
再解釈することが可能。環境シミュレーションによって短時間で追体験し、
現代の設計に活かそうとしている。
<にし阿波―ソラ世界―>
・自然な水と空気の流れを活かして、風雨による土の流出を防ぐ工夫をして、
山間部の気候に適した少量多品目を組み合わせる伝統農耕が受け継がれて
きている。南向き斜面は「日の地」、北向き斜面は「蔭地」と呼ばれて
いて、斜面を地形データ・気象データを用いて地表面の積算日射量を解析
したところ、受ける日射量によって集落の広がり方が決定されているように
見えた。
<一宮のノコギリ屋根>
・南北反転・軒を延長・テラス化することで、冬季にはダイレクトゲイン
を得ることができ、夏季には日射遮蔽することができ、中間には自然通風
が可能。既存のノコギリ屋根工場を保存するのとは別に省エネルギーを実現
させるようにすることで、ノコギリ屋根のある風景を街に取り戻すことが
できる可能性あり。
・以上より、伝統的集落や慣習的建築形式の環境ポテンシャルは十分に活かさ
れていない「資源」として捉えて、環境シミュレーションは資源へのアクセス
を助けて現代に活用することも可能である。
【何のためのシミュレーション?】
・様々なコンフリクトを解消しながら、適切な他者との関係性をデザインするた
めに環境シミュレーションをはじめとする技術は活かされうる。
・難波和彦さんが『建築の四層構造』内で述べている「第一層:物理性、第二層
:エネルギー性、第三層:機能性、第四層:記号性」といった四層すべてを統
合することが建築デザインという考えより、環境的な要素を他の様々な要素と
インテグレートしていくことで、新しい建築をデザインしいこうと考えてい
る。
【考察】
・シミュレーションを通して傾向や法則などを見つけだし、そこからその地
域にあった建築デザインを考えていくことは簡単そうに見えて難しいので
はないかと思いました。しかし、今後の建築として環境だけでなく建築に
関係ないこととの繋がりも発生する可能性があるため、様々な要素にアン
テナを高くする必要があると感じています。
○lecture C 清野 新「What is "Building Physics"?」 (矢作)