wakisaka lab@Shizuoka Institute of Science and Technology

静岡理工科大学 建築学科 脇坂圭一研究室

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2023.3.31 第6回読書ゼミ

こんにちは!

脇坂研究室3年の一色です。

 

3/31に、私たちを主体にして行われた読書ゼミの最終回である「第6回読書ゼミ」

が行われました。

 

今回取り上げる本は、「アーバニズムのいま」(著:槇 文彦)です。

ゼミの進行は、本選定を行った望月が司会、書記は寺田が担当しました。

 ゼミの流れとしては、各章の概要説明の後、各自がこの本の位置づけを述べ、五月革命ベルリンの壁(アーバンデザイン会議56とベルリンの壁の関係性)についての議論、都市を語る5つの視点(パス、エッジ、ディストリクト、ノード、ランドマーク)についての議論、モダニズムとアーバニズムの対立についての議論、コミュニティとコミューナリティの違いに関する議論といった順で進められました。

 

 概要の説明後、各自の感想としては、「私の都市」(P.104)の流体化した都市について、または、第4章以降からの記述で著者がより小さいスケール(人間的)を大事にしている、といった2つの点について多くのレビューが集まりました。その流れから、本書の位置づけについて議論が展開されました。各章または節の終わりに著者による今を生きる建築家および若者に対するメッセージの投げかけが記されています。これらの投げかけを各自取り上げ、本の位置づけに関しての議論を行いました。結論として「モダニズムを経験した槇文彦氏がアーバニズムから建築都市を思考する必要性を訴える本」となりました。

また、上記の流れに記されていないトピックとして、第3章「〈新国立競技場〉その後」の内容がゼミの中で盛り上がりを見せました。本書に、「死刑に相当する犯罪だ。」と指摘されたダイナソア―に新国立競技場は類似していると記されており、筆者だけではなく、当時は、多様な人物から厳しい言葉が飛び交っていたと想像することができました。ゼミでは、改めて新国立競技場の位置づけから都市計画についての内容を見直すと共に各自の新国立競技場に対する批評の応答がありました。

 

 今回の読書ゼミを通して、都市とは、人の目と心を楽しませるものとあるが、それは、秩序と個性を持ち合わせた品のある佇まいをいうのではないか。と本書の内容を通して思いました。本書以外にも、「漂うモダニズム」など都市計画あるいはモダニズムに関する槇文彦氏による書籍は多く出版されているため、引き続き学びを続けたいと思います。また、ゼミの終了後、脇坂教授から、「自分なりの建築感をもつべきである。」と指摘がありました。自分なりの建築感をもつためにこれからも多様な建築に触れたいと思います。